スポーツ医療従事者のための本格フロッシング
基本情報
- 監修者:
- 高平 尚伸
- 著者:
- スヴェン・クルーゼ / 協力:ヨハネス・エルメル
- 訳者:
- 長谷川 早苗
ISBN | 978-4-86654-019-1 |
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定価 | 3,600円+税 |
発売日 | 2020年7月 |
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内容紹介 スポーツ医療従事者のための本格フロッシング
【フロッシング】とは、弾力性のあるラテックスバンドを関節や身体部位に一時的に巻きつける手法であり、バンドよる圧迫や巻き付けたままの自動運動、他動運動によって「痛みの軽減」「代謝の促進」「筋出力や可動性の向上」を目的としている。疼痛を抑え、患部の再生を促進しながらも復帰を考えるアスリートに必要なトレーニングは続けられるということで競技スポーツ選手などには古くから利用されてきたものである。
著者はスポーツ理学療法士として長年の間、アイスホッケー選手を中心とするアスリートの治療にあたっている。自身がトレーニングをしているときに感じた「ベルトやチューブを体に巻くことによって痛みが軽減できた」という経験から弾力性のあるラテックスを使い、正しく巻き、正しい圧迫することで痛みの軽減だけでなく筋出力や可動域の向上、再生の促進にも効果があることを明らかにし、現在の「イージーフロッシング」という治療メソッドを完成させた。
本書には、スポーツ選手以外にもさまざまな症状を訴える患者を数多く診てきた経験が盛り込まれ、イージーフロッシングを使うことで治療の効果がどれほど向上するかが示されている。
本書前半では、治療の対象となる結合組織、細胞外空間、筋膜系について最新の知見を紹介。その機能や作用が体に及ぼす影響に加え、フロスバンドの種類や巻く方向、その理由なども論理的に理解できる。
後半では、イージーフロッシングを実際にどのように用いるかをわかりやすく提示。フロスバンドの巻き方を伝える写真を多く掲載し、具体的な症例を挙げて実践的理解を助けている。
これは、理学療法士、柔道整復師などボディケアのプロとして働く人たちに向けた日本でも数少ない本格的なフロッシングを学ぶための適書である。
判型:B5変型(238×167mm)
頁数:176ページ
色数:4C
製本:並製
●著者、監修者、翻訳者について
著者:スヴェン・クルーゼ(Sven Kruse)
DOSB-Sportphysiotherapie(ドイツオリンピックスポーツ連盟が認定するスポーツ理学療法)ライセンス保持者。「メディバイタルリハビリセンター」オーナー。ドイツアイスホッケーリーグ所属「イーザーローン・ルースターズ」医療部門長。1984年からエクアドル代表サッカーチームや「チーム・HTC-ハイロード(国際自転車競技連合の主催するUCIプロツアーに参加する自転車ロードレースチーム)」などトップアスリートのサポートを始める。
様々な分野の世界のトップアスリート、オリンピックチャンピオンのケアと治療をした理学療法士として表彰された経験も持つ。「イージーフロッシングコンセプト」の創始者。
協力:ヨハネス・エルメル(Johannes Ermel)
1985年大学入学資格(アビトゥーア)取得。兵役代替奉仕活動として看護業務を行う(看護補助者)。1992年理療法士の資格取得。あわせてスポーツ学、哲学、社会学を大学で学び、修士号を取得。学業と並行して理学療法士として就職。
1993年に独立(筋骨格系疾患、顎関節症をおもに扱う)。独立後は徒手療法士として従事。その後、オステオパシーを学ぶ。
2003年よりフリーランスとしてThieme出版の仕事を開始(専門書の編集、執筆、レビュー)。N.A.P(. 神経整形外科的活動依存性可塑性)療法のアカデミーでモジュール1と2を学ぶ。
監修者:高平 尚伸(たかひら なおのぶ)
北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻教授、同大学院医療系研究科感覚・運動統御医科学群機能回復学およびリハビリテーション科学、臨床医科学群整形外科学教授。医学博士。専門は股関節外科、最小侵襲手術(MIS)、スポーツ医学、運動器リハビリテーションと運動解析、静脈血栓塞栓症、ロボット、同種骨・関節移植など。日本テニス協会医事委員、Japan women’s open tennis チーフフィジシャン、サッカーJリーグ柏レイソルメディカルアドバイザー、日本体育協会公認スポーツドクター。
翻訳者:長谷川 早苗(はせがわ さなえ)
独日翻訳者。訳書に、『脊椎の機能障害』、『メディカルヨーガ』、『筋筋膜トリガーポイント』、『筋肉テストブック』(以上ガイアブックス)、『続・善と悪の経済学 資本主義の精神分析』(共訳、東洋経済新報社)、『生きる意味』(興陽館)など。
日本語版監修者序文
はじめに
1 序章
1.1 歴史
2 結合組織
2.1 構造と機能
2.1.1 細胞
2.1.2 線維
2.1.3 細胞外基質
2.2 結合組織の栄養補給
2.3 結合組織の分類
2.3.1 疎性結合組織
2.3.2 密性または線維性結合組織
3 筋膜系
3.1 ファシアネットワーク
3.1.1 ファシアネットワークにおける遠隔作用
3.1.2 Myersのアナトミートレイン
3.2 ファシアの解剖学
3.2.1 皮下組織
3.2.2 浅層脂肪組織
3.2.3 浅層ファシア
3.2.4 深層脂肪組織
3.2.5 深層ファシア
3.2.6 腱膜ファシアと筋外膜ファシア
3.3 機械的性質
3.3.1 弾力性
3.3.2 可塑性
3.4 伝達
3.4.1 ファシアネットワーク内の伝達
3.4.2 他のネットワークとの伝達
3.5 筋膜系における変化の原因
3.5.1 慢性の誤負荷とストレス
3.5.2 損傷
3.5.3 不動状態と加齢
3.5.4 その他の要素
4 作用と仮説
4.1 筋膜圧迫
4.1.1 関節の離開
4.1.2 運動によってファシア間の層が引き離される並進運動
4.1.3 皮膚求心性神経、機械受容器、自由神経終末の刺激
4.1.4 水分と血液の停滞
4.1.5 メカノトランスダクション
4.1.6 高分子の分解
4.2 レフィル
4.2.1 水分補給
4.2.2 粘弾性の改善/可動性の向上
4.3 リリーシング
4.3.1 しっかり巻きつつも穏やかに
4.3.2 圧の抑制
4.3.3 リズミカルに動かす
4.4 動きの向上
4.4.1 固有受容の改善
4.4.2 筋間・筋内コーディネーションの改善
4.4.3 筋線維の動員の改善(「ストレングス・パフォーマンス」)
4.4.4 緊張調節
4.4.5 痛みの緩和
4.4.6 可動性の向上
4.5 創傷治癒
4.5.1 急性期
4.5.2 リモデリング期
4.6 腫れの軽減/リンパ系への作用
4.6.1 さまざまな浮腫のタイプ(Herpertz 2001)
4.6.2 リンパ管系の構造
4.6.3 作用メカニズム
5 適用範囲、適応症、禁忌
5.1 適用範囲
5.2 適応症
5.3 禁忌
6 フロスバンドについて
6.1 ラテックス
6.1.1 ラテックス製フロスバンドの生体適合性
6.2 強度
6.2.1 異なる強度のメリット
6.3 さまざまな長さと幅
6.4 手入れと消毒
7 使用の原則、全般的なガイドライン
7.1 巻き始め
7.2 巻く方向を確かめる
7.2.1 内巻き×外巻き
7.2.2 バリアのない方向(間接方向)
7.2.3 バリアのある方向(直接方向)
7.3 共通の原則
7.3.1 遠位から近位へ
7.3.2 すばやく外す
7.3.3 ファッシャルスラスト
8 実践
8.1 準備
8.1.1 説明
8.1.2 問診/検査
8.1.3 判断
8.2 手順
8.2.1 弱めの圧迫から試す
8.2.2 圧迫を強める
8.3 治療テクニック
8.3.1 筋とファシアの緊張を下げる
8.3.2 筋とファシアの緊張を高める
8.3.3 モビライゼーション
8.3.4 自動運動
8.3.5 特定の動作の最適化(コレクティブエクササイズ)
9 使用法
9.1 関節に巻く
9.1.1 関節のイージーフロッシング
9.1.2 母趾の中足趾節関節
9.1.3 上跳躍関節
9.1.4 膝関節
9.1.5 母指の手根中手関節と中手指節関節
9.1.6 指節間関節
9.1.7 手関節
9.1.8 肘関節
9.2 関節に巻く特殊な方法
9.2.1 肩関節
9.2.2 股関節
9.3 筋膜に巻く
9.3.1 踵骨
9.3.2 アキレス腱
9.3.3 前脛骨部症候群(シンスプリント)、下腿筋膜
9.3.4 大腿筋膜、腸脛靱帯、腸脛靱帯の遠位部
9.3.5 坐骨結節下
9.3.6 前腕(前腕筋膜、内側・外側筋間中隔)
9.3.7 上腕骨上顆炎
9.3.8 上腕筋膜(深層の上腕筋膜、腹側部)
9.3.9 上腕筋膜、背側部(上腕三頭筋)
9.3.10 胸部
9.3.11 骨盤付近(腰椎/骨盤)
9.3.12 肩と横隔膜を組み合わせて筋膜に巻く
9.3.13 大腿と骨盤を組み合わせて巻く(鼡径部の伸張)
9.4 筋肉に巻く(スポンジテクニック)
9.4.1 大腿
9.4.2 上肢
9.5 外傷後に巻く
9.6 リンパに巻く
9.6.1 禁忌
10 具体例
10.1 跳躍関節捻挫のサッカー選手
10.2 多発外傷後の男性患者
10.2.1 肩の治療
10.2.2 手関節の治療
10.3 腓腹痛の女性患者
10.4 競技スポーツの治療例
10.4.1 シングルレッグスクワット
10.4.2 ディープサイドランジ
10.4.3 ケトルベルスクワット+組み合わせて巻く
10.4.4 ウォーキングダンベルランジ
11 イージーフロッシングのセミナー
11.1 対象
11.2 内容
11.3 参考文献
索引
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