妖怪とは2014/07/11更新
- 読み:ようかい
世界中の人々に語り継がれてきた伝説や民話や聖なる伝承のなかには、たくさんの幻想生物が登場する。太古の昔に焚火を囲んで語られた物語から、現代人に喜びと恐怖を与える本や映画まで、人間の想像力は、じつにさまざまな種類の獣や怪物、精霊や神々などの不思議で恐ろしい生物たちをこの世に生み出してきた。
民話や伝説上の架空の生物のなかには、いくつかの伝承にまたがって登場するものがある。たとえば、ドラゴンやその他の翼のある大蛇は、古代エジプトやバビロニア、インド、中国から、中世のヨーロッパやメソアメリカ(コロンブス到来以前にさまざまな文明が栄えた地域)まで、ほぼすべての文化に登場する。一方、地理的特色を反映したものもあり、たとえばマーメイドは、メラネシアから日本、イギリス諸島にいたるまで、さまざまな海洋民族の物語のなかに登場する。恐怖の巨人やゾンビ、ヴァンパイアなどは、古代から現代まで、世界中の民話のなかに出没してきた。
幻想生物を知るということ
?現代のファンタジー小説や漫画本、ロールプレイング・ゲーム、テレビ番組、娯楽映画などに続々と登場する不思議な生物たちの多くは、伝統的な神話や民話に出てくる生物をモデルにしている。本書の生物を知ることで、これらの現代の神話のルーツがわかり、芸術作品や、小説や、さまざまなプロジェクトに取り組むうえでのヒントを得られる。自然の反映さらに、驚くほど多様な幻想生物が存在することは、自然の豊かさの表れでもある。現代では、どの大陸においても生物種や固有の文化が絶滅の危機に瀕している。世界中の文化が生み出した種々の幻想生物を知ることによって、自然界とのつながりを強め、生物多様性や豊かな生態系の未来について、関心を高めることができる。また幻想生物は、自分自身を理解する助けにもなる。空想上の生物は、しばしば人間の本性の象徴として現れる。人間には神聖な性質もあれば、自らが嫌い、恐れる陰の部分もある。そのため、空想の生物は夢想のなかに現れ、悪夢となって出没し、内なる世界からのメッセージを伝えるのである。最後に、あらゆる文化に語り継がれる神々や、半神や、精霊や、超自然の存在について知ることにより、不思議なものに感嘆する感性が刺激され、信仰心が深められる。王子に変身するカエルの話のように、おとぎ話は心と体の変身願望をかきたてるのである。
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