植物療法とは2014/08/04更新
- 読み:しょくぶつりょうほう
植物療法(フィトセラピー)
植物療法(フィトセラピー)とは植物ならびに植物の一部、例えば葉、根、実あるいは種子、およびそれらの調合を用いて行う、病気や体調異常の予防または治療のことを指し、これに適した植物は一般に薬用植物と呼ばれる。
歴史
中国、チベット、インドのアーユルヴェーダ医学をはじめとして、植物を用いた治療法は数千年前から世界中に存在していた。アフリカ、南北アメリカあるいはオセアニアのいわゆる未開民族のシャーマンたちもムラサキバレンギクやデビルズクローなど、現代のフィトセラピーにおいても一般に使用される植物を活用していた。古代エジプトやギリシャの祭司、ローマ皇帝の侍医、パレケルススらも一様に植物の治療効果を認識し、独自の医療に役立てていた。学術用語としてフィトセラピーという言葉を初めて用いたのは、パリで診療を実践していたフランス人医師アンリ・ルクレール(1870~1955)であった。彼は薬用植物の使用に関する論文を多数執筆した。1978年に発効され、以降数回にわたり改正・拡大されてきたドイツ薬事法(AMG)により、植物療法が再興されルードルフ・フリッツ・ヴァイス(1895~1991)が現代医学として発展させた。
処方の基本
生薬の調剤形態には混合茶剤、浸剤、煎剤、解離剤、絞り剤、エキス剤、入浴剤、シロップ剤、酒精剤、坐剤、軟膏剤、調合済み薬品などがある。そのほか、植物入浴療法(ハーブバス)がある。症状に適応する薬用植物を調合し、用法と用量の通り服用する。
有効性の実証
西洋医学的な薬効や有効性が実証されていなくても、東洋医学の臨床では有効性が確認され、現在も多用されている薬剤もある。例えば、シマナオウ(麻黄)は、寒性感冒初期や気管支喘息などの治療薬として、トリカブト(附子)は体を強く温め元気を高める薬効があり寒性の体力低下や疼痛性疾患に、サフラン(蕃紅花)は血流を改善し解毒し更に「こころ」を安定させる薬効があり、血流停滞性疾患である瘀血などにそれぞれ活用されている。植物療法は、未だ未知なる薬物群と言える。単に有効性評価だけを見ずに、更に検証を加えていくことで今後の発展に活かすことが出来る。
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