触診マニュアルとは2014/08/06更新
- 読み:しょくしんまにゅある
- カテゴリ: リハビリテーション・スポーツ医学 > 触診マニュアル
触診とは何か?
触診の定義は幅広い。触診を意味するpalpationという単語は、ラテン語で「触れる」を意味するpalpatioを語源としている。しかし、触診を単に触れることと定義するのは早計で、実際にはより多くの意味合いがある。触診という単語には、ただ触れることだけでなく、触れられたものを知覚、認知すること、という意味も込められている。その意味で、触診には手や指だけではないそれ以上のものが含まれている。それは頭を使うことである。優れた触診を行なうには、指だけでなく脳も使って感じ取ることが必要である。セラピストは触診を行なうとき、意識を集中しなければならない。すなわち、セラピストは、患者の身体から指で感じ取った感覚を脳へと送り、脳に蓄積された解剖学のデータベースに組み入れなければならない。患者からもたらされる感覚に対して、素直でありつつ、その感覚を詳しい知識に基づいて解釈しなければならないのである。診察、治療の際に意識を集中させることで、注意深いタッチが生み出される。
触診の目的
触診を行なうには2つの目的がある。第一のステップは目的構造の位置を特定すること、第二のステップは触診対象構造を評価することである。
初心者のボディワーカーには大目標ともいえる第一の目的は、触診すべき対象構造の位置を特定することである。これは至難の業である。患者の組織に触れると一口に言っても、組織に触れることができるのと、近傍のあらゆる組織から対象構造を見分けることができるのとでは全く異なる。セラピストがこれを行なうためには、上部、下部、内側、外側あるいは表面や深部といった構造のあらゆる境目を特定できなければならない。構造が皮膚のすぐ表面であれば、患者の身体に触れなくとも一目見ただけで位置を特定できることがある。しかし、対象構造が身体の深部であれば、位置を特定することは非常に難しい。
構造を正確に特定できなければ正確に評価することはできないので、位置を特定することを目的とする触診は基本であるとはいえ何よりも重要な第一ステップである。対象構造の位置を特定できたら、評価を開始する。評価を行なうには、構造から触診指で拾い集めた感覚を解釈しなければならない。構造の大きさや形状、その他の特性など構造の性質を認識することもその中に含まれる。柔らかいか?膨れているか?張りや硬さがあるか?目的構造の健康状態を評価するときは、これらのすべてのファクターを考慮しなければならない。
西洋医学において最新鋭の診断評価設備が次々と開発される中、触診を行う手が依存としてボディワーカーの主要な評価ツールであるという点は特筆すべきだ。ボディワーカーにとってはむしろ、タッチを通じて情報を集める作業である触診こそが、評価の中核を担っているのである。注意深い触診によって、構造の正確な特定評価を行なうことができるボディワーカーは、確実に実践できる効果的な治療プランを作成することができる。
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