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ガイアブックスのスタッフブログ

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『世界は分けてもわからない』から見た視点
2010.02.20
物語をひとつ。 ― 私は平凡な掃除係。 私の代わりは世の中にたくさんいる。そんな私にも夢があるんです。 それは会社を起こすこと。一つの目標に向かって個々が才能を発揮できる環境を作りたい。 理念は決まってるんです。 でも、私一人で何ができるか…。 そんな事をいつも考える毎日の中、チャンスが訪れました。 「その夢、一緒に叶えよう」と言うパートナーが現れたんです。その時から二人三脚、私達はスタートしました。 二人の考えを持ち合わせて決めた会社の社是。これが私達の会社の個性です。 それに共感して入社してくれた社員第一号。その人は社是に従順に仕事をしてくれました。 更に社員を増やす必要があり、第二期を数名採用。皆、社是通りに真面目に働きました。成長につれ、第三期、第四期と、新入生は倍々に増えていきました。この時、社員達は互いに周りの空気を読み社訓に準じて相補的に働いていました。 「君が営業するなら、僕はそのデータ入力をするよ」 「じゃあ私は受付をします」 個々が自発的に自分の居場所を見つけだします。個別の部署で働く皆が同じ社是を持っていることを誇りに、自分の分際を悟っているのです。誰が指揮を取ったわけでもなく、全く自然に。 我社の社員は一人ももれなく優秀でした。 私がすることは、成長への気合いが強いために無理しすぎる部署に新しい仲間を加えてやるだけ。 「始めまして。皆さんが手の回らないこの仕事を私は進めます。」 「頼みます。私たちも自分に出来ることを精一杯やっていきます。」 この会社は、皆が自分の能力の活かし方を知り、過不足のない完璧な補完性を完成していくのです。 最終的な社員は約60兆人。皆が周りの空気を読み、自らがするべきことを社訓を基準にして働いている。だから会社は成長できたのです。 完璧でした。 しかしあるとき、社員の一人が急にKY(空気が読めない)化したのです。 何かに苛立っているのでしょうか?。欲求が満たされないのでしょうか? 周りの声を聞かなくなり、自分の主張ばかりを通し始めました。落ち着く場所が見当たらず、あちこちの部署の様子を伺っては口出し、文句。 私が気がつくのが遅かったのです。 社内は既に和が崩れ、一人、また一人と利己的に行動し始めていました。 空気は乱れ、自分の分を忘れて動き出した集団に、もはや言葉は通じなかったのです。 社員の暴動が制御不可能になった我社…、 私はここで生命の幕を降ろす経営判断を下しました。長い旅路のようであっという間の道のり。この思いを継いでくれる人材数名が、また清掃婦になり、一から始めてくれるでしょう。 ― この物語にタイトルを考えました。 「身中のKY」 拙い話をお読みいただきありがとうございました。作者はぴのこです。 実はこの話、“会社”に例えた“身体”の話なんです。 配役は以下の通り。 主人公の私=卵子 パートナー=精子 社員=細胞 KYな社員=がん細胞 会社は、受精卵から成長していく身体の様子 社是・社訓はDNAを表しています。 『世界は分けてもわからない』 福岡伸一著  講談社現代新書 マインド×ボディ&スピリット-世界は分けてもわからない この本には細胞を擬人化する比喩が多く書かれています。 体内で働く細胞達は、どんなヒューマンドラマよりもリアルで面白い物語の主人公。 生物学の発達は、小説より奇なる細胞のドラマにスポットライトを当ててくれました。 本書を参考に、なるべく正確に細胞の動きを例えたのが上記の物語『身中のKY』です。 この本を一緒に学びあった仲間がいます。 「新書リーディング会」の皆様。 月に一回、世田谷九品仏のエレメンタルスタジオに集い、テーマの新書について感想を話し合います。 この皆様と一緒に活動して一年。 私は毎月、多くの刺激を受け、思ってもみなかった好奇心を掻き立てられます。 来月は『国家の品格』 藤原正彦著 新潮新書 について話合います。 マインド×ボディ&スピリット-国家の品格

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