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世界四大医学:チベット医学について
- 2010.08.16
- 私の書いたチベットの記事を読んでメッセージをいただきました。 とても嬉しいので、 チベットの文化について書きます。 『チベット医学の真髄』(産調出版)より ※以下の画像・文章は産調出版の著作権により転記・転写を禁じます。 仏教の経典(スートラ)によれば、仏教は紀元前5世紀もの昔に医術に関する教えのなかで人体の成り立ちを説いたとされ、それが今日のチベット医学の原型となりました。 西洋医学では精子と卵子が受精した時点で生命が始まると論じますが、仏陀は精液の白い滴と卵子の赤い滴、そして「生気」や「気息」などの言葉に置き換えられる青い滴「ソク・ルン」が混ざり合って人間の生命が発生すると説いたのです。ソク・ルンは人体のすべての活動をつかさどる根源的な生命力であり、そのなかに刻印されたカルマの働きによって人は再びこの世に生まれ落ちるのです。 インド、中国、ペルシャ、ギリシャから何世紀にも渡って集められ磨きあげられた伝統医学の精髄と、ラマによる秘儀や修法を中心とするタントラ仏教(密教)が融合してうまれた『ギュー・シ(四部異典)』によれば、ソク・ルンにはカルマの痕跡が刻まれています。カルマの法則とは、善悪を問わず行為には必ず結果が伴なうという意味です。良いカルマも悪いカルマもすべてソク・ルンに刻みつけられて、現世から来世へと輪廻をめぐります。この世で経験する苦楽は、過去生を含めて過去に自分がなした行為の結果なのです。 そして白・赤・青の三つの滴から、微細なエネルギーから流れる脈管が形成され、 その脈管が集まる地点を「チャクラ」と呼びます。 生体エネルギーには「ラ」と呼ばれるものがあり、 月の満ち欠けに合わせて28日周期で各チャクラをめぐります。 満月の日に「ラ」が頭頂のチャクラに達する際に全身のエネルギーバランスが整うため、この日に修法儀礼をおこなえば大きな成果が得られます。 チベット医は「ラ」が体内のどの部分に位置しているかという点を必ず確認してから治療を施します。 チベット医学では、病気をまず根本原因の観点から定義します。 心を乱す三つの毒「貪欲、怒り、無知」がその根源だと説きます。 それを乗り越える手段は「菩提心」と呼ばれる慈悲の心です。 仏教は万病の根本原因は「マクリパ」(無明)という我執であると説きました。 仏教の教えでは、自我の実在を信じて執着するやいなや「他」の概念も現れ、自他の「二元論」が成立します。 このように自他を切り離して考えると、慈悲の心は失われてしまうのです。 自身の心に仏が備わっていることを悟り、 心の魔と向きあうために、チベット医学では 「チュウ」と呼ばれる瞑想法やヨーガを根本治療とします。 その他、薬草学、「クム・ニェ」という独特なマッサージ法、灸療法、吸玉療法 など、独自の治療法があります。 また、チベット医は脈診が巧みなことで有名です。 熟練のチベット医なら左右の手首にある三種の脈を取るだけで、 体内で起きている現象をことごとく把握してしまいます。 チベット医は人智を超えた人体学をもった 人間学のスペシャリストなのです。
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