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スイスの絵本作家 クライドルフの世界
- 2012.08.01
- 日曜日、「スイスの絵本作家 クライドルフの世界」(bunkamuraザ・ミュージアムの)展示会に行ってきました。 スイスの高原に咲く花や草や虫を擬人化した絵が、とっても可愛らしい絵本なのです。 ドイツの有名美術学校卒業後、画家として生きていたクライドルフは、祖母、母、弟、姉を同時期に亡くした悲しさから精神を病み、実家のスイスに引きこもるようになりました。 一日中、植物や虫ばかり見て過ごしていたそうです。 ある秋の日、春にしか咲かない花が何故か咲いているのを見つけ、発見の喜びのあまり、摘み取って帰りました。 その花が、みるみる枯れていくのを見て、「自然に対して申し訳ない事をした」と自責の念に駆られます。 せめてもの罪滅ぼしにと、花を絵に描いたのが、植物画のきっかけ。 そして、植物が主役の絵本を上梓し、スイス中で話題となりました。 展示は、クライドルフ絵本の代表作『花のメルヘン』『ふゆのはなし』『バッタさんのきせつ』『くさはらのこびと』『フィッツェブッツェ』『眠れる木』『花を棲みかに』『アルプスの花物語』などの原画だけじゃなく、挫折時代に描いた『人生は夢』(家族を亡くしたとき、生と死について自分が感じた全てをこの絵に込めたという、力強いパワーを感じる絵でした)、幼少期に描いた父や母や祖父の肖像画などもありました。 クライドルフは数年に渡り、一日中生物の観察をしてきたため、その描写力は研ぎ澄まされていています。 絵本の中で、擬人化される生き物たちは、外見や効能に見合った性格で表現されます。 例えば、棘が多く、つんつんしたアザミは意地悪な性格の女性に、 棘はあるけど美しく、百日咳の民間療法などに使われる力をもったエリンギウムは優しく善良な女性に、 物語られます。 私は少し前に『植物療法(フィトセラピー)事典』(近日発売予定)の校正をしていました。 植物の外見や効能について、少しの知識が頭に入っていましたので、「プリムラは春を告げるお祝い娘の姿で描かれるんだ」「ヨウシュトリカブトは毒を持った植物だから兵士の役なんだ」など、フィトセラピーの視点からも楽しめました。 フィトセラピーにちょっと関わった私ですら、クライドルフの世界に感動したので、ハーブセラピストさんやフィトセラピストさんは、たまらないんじゃないかなと思います クライドルフさんも、植物が大好きで、 植物の特性を全部理解して、その素晴らしさを絵本で大きく普及したんですね。 素敵でした。 図録買いました。 カバーは透明で、絵本の登場人物が妖精のように本の周りを飛んでいるようです。
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